アクタージュについて語る スターズオーディション編
アクタージュについての色々な話とかがしたい!というわけで色々書いていくシリーズの第2弾。前回はこちら
スターズオーディション編
というわけで、前回はアクタージュの読み切り版『阿佐ヶ谷(略)』についてちょっとお話を書きました。そして今回からはついに本編の話。アクタージュが始まります。
まずは最初。第1話。『scene1 夜凪景』というタイトル。かっこいいですね。全ては夜凪から始まる。
場面はスターズのオーディション5次審査から始まりまして3ページ目。
他の女優が下手くそでイライラしている黒山さんが、夜凪を見つけてこの感想。これこの漫画が始まってわずか3ページ目の出来事なんですよね。
上辺だけの『悲しみ』を演じる他の女優に対して『本当の悲しみ』の中にいる夜凪の演技。なるほどこれがメゾット演技の片鱗か。と、今なら思うんですが。
最初に読んだ時はあまりにハイテンポ過ぎてよくわかんねぇんじゃねぇかな?って気がしないでもない。最初に読んだ時にも『この漫画面白いな』と思ったんですが、展開早いですよね。この時点で読者は登場人物について何も知らないですからね。
出会って5秒で覚醒です。
ここから『バカでもわかるように演じろ』と言われ、わかりやすく涙を流す夜凪。1話から色々言ってもアレですが、夜凪さんは『バカでもわかるように』とかあんまり言ったり考えたりしない気がする。もうちょっとなんというか良くも悪くも純粋な人というイメージなので。
とまぁ細かい話はともかくとして、わかりやすく涙を流した演技をするもオーディションは不合格。5次審査って結構突破してきた感じですね。面接とかあったら即落ちのコミュ障感あるんですがどんな審査達だったんでしょうか。気になる。
夜凪家
ここから場面は変わり夜凪家に。双子のルイ、レイが登場し、夜凪の家庭環境について少し語られます。
いまいち間取りの安定しない夜凪家。不思議の夜凪家です。ローグライク。これは道中現れた双子の激カワ妖精と戦う夜凪さん。
どうやら夜凪家には両親がいないような感じの話が語られます。まぁここから先も全部知ってるわけですから特に何というわけでもないですが、ちょっと見てみたいのがここ。
アクタージュの全ての黒幕と言っても過言ではない『夜凪父』について少し触れた場面。これよく見たらいっぱいお酒の瓶やら缶やら転がってるんですよね。
夜凪父はアル中だったんでしょうか?あんまりそんなイメージないんだけどな。クールなクズ人間ってイメージ。北海道の山奥にある芸大で1人で絵を描いていた画家を涼しい顔でたぶらかすくらいには理知的でクズ人間みたいなので。許せん。お前のせいで!!
夜凪さんが1人でこんな思いをしている間にも花子が『彼がかわいくてかわいくて』とか言ってたかと思うと憎しみも沸きますね。
まぁそんな物語的に未来の話はともかく。映画を見る事で演者の感情をトレースし、それに呼応する自らの過去を追体験する演技法『メソッド演技』を独学で極めている。という事が星アリサから語られます。
お前それ何ゲリオンだよという感じの社長室?での会話。個人的には後ろか前に壁が無いと不安でしょうがないんですが、こんなだだっ広い部屋のど真ん中に机1個が普通とかさすが大女優。クセが強い。
夜凪の女優としての資質と、その危うさも同時に見抜き夜凪を育てるのは彼女の人生を潰す事になると否定的なアリサと、この世界でしか生きられない人間の幸福を教えてやると夜凪の育成に前向きな黒山。
そして、そんな姉に対する妹の感想。
夜凪の異常性というかその情緒について『怖い』という感想をもらすレイ。
夜凪のメンタルの話
ちょっと本編の流れとは逸れる話になるんですが、俺夜凪て凄い可哀想だなって思うんですよ。母親は良い人っぽかったけど早く死んでしまって、クズの父親は出て行ったしどうも祖父母というか親戚筋も一切援助してなさそうな感じなので、母が亡くなってから双子の兄弟の面倒をずっと1人で見てきたわけです。
当然嫌だとか辛いとか思った事もたくさんあったと思うんですよ。その辺は銀河鉄道編で少し語られるんですけどね。
で、そんな『耐え難い嫌な事や辛い事』がある度に、家に大量に置いてあった映画の世界に逃げて生きてきて、その中で『メソッド演技』を磨いてきたという事なんだと思うんですけど。
この1話付近で登場した夜凪の中に本物の『夜凪景』ってのはちゃんと居たんだろうか?と思うんです。
アリサさんは初登場のここで将来的な夜凪の人生の心配をするんですけど、もうすでにこの時点でだいぶダメになってたんじゃないかな?と思うんです。
だって夜凪さん学校行事の思い出とか全然覚えてないし。生活で精一杯で周り見る余裕とか全然無かったし。
夜凪景って人は、透明な器というか、作品の都合上仕方ないかもしれませんが『他の人格が降りてきやすそうな性格』と感じるんです。主体性が無いというか。
もちろん物語が進むにつれて自分の意志らしき物をどんどん表現するようになるし女優としてのプライドもしっかり持つようになるんですけど、なんか上手く言えないけど『周囲の押し付け』というかエゴというか、他に選択肢が無いからその道しか無かった。みたいな環境に置かれがちな気がするんです。
なんかそれが凄く可哀想に感じる。
星アキラに夜凪が語る。
「あなたも役者ならきっと同じでしょう?悲しいことや辛いことがあるとつい違う自分になろうとして本当の自分を忘れてしまいそうになるでしょう?でもレイにはそんな私が怖かったみたい。だから……」
これを聞いたアキラの(この子は何を言っているんだ?)というリアクションが、たぶん普通なんだと思うんですよ。役者バカ、監督バカが登場するからつい忘れがちですが、アキラのリアクションが正しい。
初登場間もない、まだ何も磨き上げていない原石のこの状態にしてすでに『感情の壊れたモンスター』であるわけです。
レイも言ったように、もうこの時点で笑ったり悲しんだりを外的要因から持ち出そうとする悲しい感情モンスターは、役者になりたいというより『役者になる以外に道は無かった』のかなと。まぁ天職だったんですけどね。友達もいっぱいできたし。
この後も、死を教えようとしてくる人やら不倫の果ての負の感情を押し付けてくる女など、なかなか修羅場を経験していくわけですが、その中で千世子は夜凪に何かしらの押し付けをあまりしなかったように思うので、その辺が良き友人でありライバルであり理解者になった最大のポイントなのかなと。
『女優になる他道の無い可哀想な人』から『ちゃんとした人間夜凪景』へと近づいていく物語なのかもしれません。たぶん連載続いてたらそういう『夜凪景って何?』みたいな内面に切り込むシリーズもあったと思うんだよなぁぁぁぁぁぁ。しょうがない。今のところ(あきらめてない)
とまぁ、この辺の話だけで無限に文字数が増えるような気がするのでとりあえずこの辺で。まだ1話の話してるからねこれ。
女優の道へと
黒山にその才能を見出され、改めてスターズオーディションの場に出る事になり『妄想の野犬』と戦う演技をする夜凪。その演技はまさに迫真で、見る者に野犬の幻を見せるほどでしたが結果は不合格に。
とにかくアリサさんは『夜凪はやべぇ』の一択。若き日の自分と重ね合わせているようですが、この辺のアリサ外伝もいつか見たかったですね。
そしてそこから夜凪は大黒天のメンバーとなり、次の仕事としてシチューのCM撮影に。
これたぶん大河時代に『あの人のお宝映像』とかで流れるやつですよね。まだ無名の新人女優だった頃の夜凪の貴重な映像!みたいなやつですわ。
他にもスポドリやチョコのCMにも出ます……出ますがしかし……。
さて。
ここで、夜凪は母が突然亡くなってしまい妹と弟に笑ってほしくて母が作っていたカレーを作った。という時の感情を思い出しながら料理をします。
その演技を見て。
『この子は本物だ』と確信する雪ちゃん。
しかし。しかしですよ。この天才的な演技の背景にどれほどの悲しみを背負っているのかと。さっきも書きましたが頼る人もおらずただ1人でなんとか幼い弟と妹を育てていかねばならず、結果的に幼い夜凪景は押し殺し『母親夜凪景』を演じる事になった人生だったわけです。
自由に、わがままも言う本当の夜凪景はもうそこにはいなかったかもしれません。可哀想だなと思います。
まぁ結果論としては、こっから周りには高所得な大人がなんぼでも集まってくるし(本人込み)みんないい人だし大黒天は託児所みたいなもんだしで、そこそこ恵まれるようになるのが救いです。
で、これ書いてて思うんですがここでまだ2話なんですよね。展開早いよねこの漫画。
ドラマにも出る
次の仕事は時代劇のエキストラ出演。これもきっと後の世でお宝になるやつですね。未来では大河に出演しますが、大河と言っても割と近代が舞台なので時代劇とはちょっと違う。
ここでは、幼女を見殺しに出来なくて飛び蹴りをかますなどの破天荒っぷりを見せつけました。だいぶダークサイドのお宝映像。将来的にはアリサさんの保護の元で生きるような感じになるので、この手の暴力沙汰はなにやらの権力で無かった事にされるでしょう。スミスならやってくれる。
様々な葛藤の末に、切られる幼児を見殺しにする事に納得はしたが納得は出来ない夜凪さん。
この表情です。いいですね!素晴らしい!!
これから先でもいくらでも炸裂し続ける『画力でぶん殴る』をさっそく披露する形。連載が進むにつれ綺麗な画力が磨かれていく感じですが、こういう荒々しい画力もいいですね。
ここでさらなる成長をとげて4話が終わり、続く5話の表紙。
控え目に言って最高ですね!!
こうね。なんというかね。言っても仕方ない事だと思いながらもね。ここまででも色々振り返りながら『あぁもうこの続きは読めないのかもしれないのか』という気持ちと戦いながら書いております。
いつか、いつか夜凪が憎き父親の顔面にグーパンかますような未来が訪れてほしいなと思うわけでなんですが。
そして舞台はいよいよ『デスアイランド編』へと移っていきます。
デスアイランドも個人的に言いたい事いっぱいあるんだ!!
広い広いネットの海の中で、あんまり発信力の無いオタクが長々と色々な事を書いていきたいと思います。1巻の話を振り返るだけでこんなんだからね。ライフワーク的な何かになればいいと思うよ。
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